本年4月から介護報酬が改定されましたが、施設の口腔ケアについてもいくつかの点が見直されました。前回に続いて新しい単位数などについて説明します。
1、口腔衛生管理体制加算 30単位/月
介護保険施設で口腔ケアに一層取り組みやすくするために、介護保険で評価することになったのが、口腔衛生管理体制加算です。改定前は「口腔機能維持管理体制加算」という名称でしたが、口腔内の衛生全般にわたる支援をしていくことから今回の改定でこの名称に変更されました。
歯科医師または歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が介護スタッフに助言や指導を行い、その指導に基づき「口腔ケア・マネジメント」の計画を作成することが要件です。歯科医師または歯科衛生士は月に1度以上施設での指導を行わなくてはなりません。
ある特別養護老人ホームでの関わりを見ました。その施設では毎月第1・第3木曜と隔週ごとに連携先の歯科医師が訪問します。その日は歯科衛生士も同行していました。歯科医師らは施設に到着すると、ケアスタッフと共に各部屋を回りながら入居者の様子を観察していきます。「こんにちは」とあいさつしても答えない入居者もいます。目をつぶったまま反応がない人もいます。
歯科医師はそうした人にもケアスタッフと協働して口腔内の状態や義歯の具合などを実際に観察し、スタッフには最近の食事や本人との会話などについて計画書・記録などを見ながら聞いていきます。スタッフの質問には、実際に本人がブラッシングや食事などを行っている様子を見ながらアドバイスをしていました。
施設長の話では、このサービスを導入したことで、常食を食べられるようになった入居者が増えたこと、誤嚥性肺炎にかかる入居者の数が減ったことなどの効果が見られるとの話でした。
2、口腔衛生管理加算 110単位/月
「口腔衛生管理加算」(旧口腔機能維持管理加算)は、「口腔衛生管理体制加算」と同時に算定することが要件です。これは歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が月に4回以上口腔ケアを行うために訪問することが必要です。入居者には衛生士によるプロフェッショナル・ケアを行い、ケアスタッフは歯科衛生士の指導・助言をもらいながら、歯科衛生士の訪問のたびに「口腔衛生管理に関する実施記録」に記録し保管します。
なお、口腔衛生管理加算を算定した同じ月内には、「訪問歯科衛生士指導」(診療報酬)は算定できません。また、算定する場合には、入居者本人または家族に内容を説明し、算定する同意を得る必要があります。さらに、「口腔衛生管理に関する実施記録」は施設で保管し、コピー等で本人・家族に内容を提供しなければなりません。
この項目終わり
図 (書類は、改定前の名称「口腔機能維持管理に関する実施記録」となっています)
出所:公益社団法人日本歯科衛生士会 ホームページより
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